1-5 市場が全国へ; 「赤すぐ」で全国区へ〈ヒット倒産に気をつけろ!拡大基調での生産計画〉

伊勢丹で「Snug as a Bug」の展開が始まり、すぐに伊勢丹のバイヤーから電話がありました、「ゴマさん、なんか関東で告知打った?」。私、「いや~、何もしてないんですが・・・」(あら~、百貨店で販売してもらう時は自費で広告出さないといかんかったんやろか・・・汗)。バイヤーさん、「いや・・・、いきなり売れてるんだよね・・・」。伊勢丹の新宿本店では最初はそうでもなかったのですが、相模原、吉祥寺、府中などで、新規リリースとしては異例な売れ方をしているらしく、驚いての電話でした。聞くと、お客さんがいきなり手に取り、店員さんが説明するとドンドン買っていくそうで、こんなこと普通はないとのこと。実は、以前書いた、近所のおばさんのアドバイスを説明書きにしたものを、少しきれいなリーフレットにして店員さんにもお渡ししていました。さすが伊勢丹!ちゃんと店員さんも見てくれていたそうで・・・ 当たり前という人もいるかもですが、当たり前のことをちゃんとやってくれる伊勢丹・・・ 頭が下がりました。でも、また、あのおばさんに助けられてる・・・

 

その後も順調に推移していましたが、ある日、また一本の電話がありました。当時、「赤すぐ」というママ向けの情報・通販誌を刊行していた、リクルート社のバイヤーさんからでした。「あの・・、伊勢丹の吉祥寺店で「Snug as a Bug」というブランドの商品を拝見したのですが、弊社の「赤すぐ」で取り扱いさせていただけないでしょうか」、取引の申し入れでした。2019.10時点で、既に「赤すぐ」は休刊になっているのですが、当時、「妊すぐ」「赤すぐ」という雑誌は、「たまごクラブ」「ひよこクラブ」(「たま・ひよ」)に次ぐ発行部数を誇り、比較的庶民派な「たま・ひよ」よりもお洒落な商品紹介に重きがあったため、「赤すぐ」掲載をきっかけに全国的なヒット商品になることがしばしばありました。「Snug as a Bug」のベビーラップ(足付アフガン)もそのパターンになりました。比較的大きく扱って頂いたこともあり、雑誌リリースと同時に一気に在庫がなくなり慌てて補充しましたが、人気が一気に全国区になり、販売数も一気に増えました。

それ自体はありがたかったのですが、生産計画は大変。拡大基調の時は、勢いもありますがリスクもあります。私たちもこの頃から、Snug as a Bugの製品は日本限定商品を増やしていました。同時に日本限定色もデザインしていました。

生地からオリジナルになるので、最小の生産単位があります。しかも、生地は、思ったより売れたからといって、追加生産しようとしても同じシーズン内には間に合いませんから、読みを利かせて一年分を一気に発注します(ここは、プリント生地でなく、織生地であるがゆえですね。生地メーカーも糸の染めから段取るからとくに追加に時間がかかります)。オーストラリアのメーカー経由で海外の生地メーカーに発注していましたが、各色50mロールx8本といった、数百m単位の発注です。毎年、4色~8色は作っていたので、なかなかの量です。海外への発注は基本的に前払いなのでなかなかのリスクです。

なので、毎年、ギリギリいっぱい、各卸先の要望数量と、思ったより売れたときの予備数量を、アイテムごとに設定し、また、大体、このアイテムに何m使うというのがあるので、その設定数量だとトータル何mの生地を使うか、予算内に収まるか、卸で何割、小売りで何割売れたら利益が出始めるか、何度も計算し直して、一つ一つチェックしながら調整し、卸先とも調整しながらその年の生産計画を固めます。同時にオーストラリアでの生産分と日本生産分を振り分けて、日本生産分については国内の縫製工場と生産時期の調整もして、生地の一定量を日本に送ってもらいます。

そうして、やっと生産を行いシーズンに突入します。

”予定より売れない”=”赤字”になってしまうので、毎年、ちゃんと売れるか、シーズンのリリース時はピリピリしています。売上がまず原材料費をペイするところまでくると少しピリピリが収まり、赤字にならないところまでくると少しホッとし、来年の発注ができる資金余裕ができたところまできて、やっとホッとできました。

事業内容によって、生産計画の立て方は違いがありますし、とくに成長期のアップダウンが大きい時期は大変です。慎重にかつ大胆に・・・と口で言うのは簡単ですが、ホント大変ですよ(笑)。とくにシニア起業のように極力リスクを抑えて進めた方がいい事業では、ここがチャンスと思っても抑えめでいきましょう。

 

拡大基調での生産計画について
ヒット倒産という言葉をご存じですか?
確か、出版の世界で元々言われていたと思うのですが、せっかくヒット商品を掴んだのに、非常に不規則に販売量が伸びていく中で、ちょっと多めに作りすぎて、そのちょっとを吸収しきれず倒産してしまうケースです。どの業界でもありますよね。別に調子に乗りすぎたのではなく、この見極めはものすごく難しいのです。計画通りに売れていくということはまずありませんし、出だしが良かった商品が増産した途端、急に失速することもあります。アパレルの場合は、色柄ごとの売上の凸凹もすごく大きいのですが、プロでもその見極めは難しいし、”見せ筋””売れ筋”と言いますが、目を引く色が飾ってあって別の色が集中的に売れるというのもよくある話で、売上が上がっていく過程の(もちろん、下がっている時も)在庫調整は本当にスリリングです。
POSが普及してオンタイムに商品の受発注ができると思っている、取引先の大手チェーンの上から目線の店長さんに苦労させられるかもしれませんが、成長期は(そんな店長さんの在庫確保圧力をかわし)なんとかリスクを抑えながら、少しでも売り逃しになる欠品をしないように生産計画を立ててください。物販の場合は、いかに売れ残りを出さないか、どうしても売れ残りが出る場合はどうやって売り切るか、必ず同時並行で準備してくださいね。

 

次は、

 1-6 溢れてくるコピー品①:日本限定商品の開発 ベビーマントを例に〈まんがで新商品開発〉(準備中)

 

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