1-4 卸先の開拓; 百貨店への売り込み 岩田屋・伊勢丹へ〈急げ!販路開拓〉

謎のおばさんのアドバイスのお陰もあって(笑・・・前項の「メモ持ってきなさい」の方のことです)、直営店の、とくに「Snug as a Bug」の売り上げは順調に増えました。

自分たちの目先の事業は何とかなり始めましたが、これからは卸事業の拡大です。

海外ブランドの代理店として、とくに排他的独占販売を任されるとなると、国内で卸事業を広げる責務があります。そうでないと独占販売させないといわれてしまいます。ただでさえ卸を広げるのは時間がかかるので、やっと認知を広げたところで契約延長しないといわれると大問題です。

数年前、海外大手ブランドが日本の大手代理店(メーカー)にライセンス契約を延長しないと通達し実際に独占契約を失いました。その後、日本の大手代理店は苦境に陥り、その苦境からいまだ脱していないといわれています。このブランドについては、日本の大手代理店が十分認知拡大に貢献していたので、一方的な(?)契約継続しないという通告には同情も集まりました。

海外ブランドは人を信用するので小さな代理店でも取引をしてくれると先述しましたが、小規模のブランドでも日本での売り上げを早く拡大できないと、理由は違えど似たような事が起きます。

そこで、卸先開拓の第一歩として、百貨店への営業を行うことにしました。

実は、卸先の開拓と言えば、展示会が定番で、私たちも数度出展しましたが、芳しい結果ではありませんでした。一つは、ベビーラップ(足付アフガン)のような他に類のないタイプの商品はバイヤーさんでも意外と気付いてくれないのです。やはりその時の流行から半歩出ている位のが最もよく、一歩分出てしまうとバイヤーさんにも意外に刺さりません。それと、展示会はコピー商品を作る参考にしようと来ている人も多く、私たちの場合も、バイヤーは反応しないのにメーカーの方の反応が良く、展示会後、コピー商品が散見するようになりました。

なので、商品にも寄りますが、ある程度販路を開拓するまでは、展示会よりも直接営業の方がおススメの場合も多いです。

で、私たちも直接営業に戦略を切り替え、まずは、福岡にある、岩田屋という伊勢丹傘下の百貨店にアプローチすることにしました。初めてだったので知り合いにやり方を相談したところ、「ああ、飛び込み営業で大丈夫ですよ!百貨店も商品を探していますから、いきなり売り場で声をかけても大丈夫ですよ。」と言われ、そんなもんか~と、飛び込んだのですが、こっぴどく怒られましたね(笑)。ただ、たまたま声をかけた方が、前バイヤーで現在の売場責任者ということで、話だけは通してくれて、さあプレゼンとなりました(ある意味、知り合いの言った通りになったという・・・)。ただそれが、商談室じゃなく、なんと社員食堂でのプレゼンで、(う~ん、まじめに聞いてくれるのかな?)という感じでしたが、ラッキーだったのは、通りかかる女子従業員さんがことごとく小声で「うわっ・・カワイイ・・なにあれ?」とつぶやいてくれたことでした。ひょっとしたらバイヤーさんも男性だったので女子の反応が見たくてわざと食堂でやったのかもしれません。

最終的には、私たちの直営ショップでベビーラップ(足付アフガン)だけで、1ヶ月に400枚売れたというのが決め手になって、イベント扱いでの取引開始となりました。

いざイベント当日、頑張って売りましたよ~。自分で接客ができるようになってて、本当に良かったです。なんとか岩田屋で実績を作り伊勢丹でも取り扱いしてもらい、全国区にしたいと思っていたので、気合満々で行きました。直営店のお客さんも来てくれたりして、販売は好調でした。お陰様でイベント扱いでなく正規の口座開設となり、継続販売となりました。

 

百貨店での取り扱いは、ブランド展開とアイテム展開があります。ブランド展開が理想ですが売上や在庫量などの要求のハードルも高いので、中小の場合、まずは手堅くアイテム展開を狙った方がいいかと思います。ただ、アイテム展開の場合、棚一つでどのくらい売れるかが重要視されます。基本的には、売り上げのスペース効率がいい商品は採用されやすいです。
また、百貨店では、しばしば販売応援の名目で販売員の派遣が求められます。この場合、百貨店の店頭ではさりげなく他社の製品も売らないといけません。もちろん販売員さんを雇うこともできますが、本当に小さな企業が百貨店と取引するときは、そういう”目に見えにくいコスト”も必要ですし、起業時にそのコストを抑えるためには、経営者自身がオールラウンドな接客力などを身に着けて、自分で販売や教育・管理もできることも必要です。

 

なんとか岩田屋で実績を作ったところで、次は中央の百貨店狙いです。もちろん百貨店に限らず、全国の一般小売店に営業をかける手はありました。ただ、一般に、百貨店は既に市場に出廻っているものにはあまり興味を示しません(最近はそうでもなくなりましたが)。逆に一般小売店は百貨店で扱われていることがプラスになることが結構多いです。なんとなく目に見えない序列ってありますよね。そこで、せっかく岩田屋さんとのパイプができたので、なんとか岩田屋さんの親会社でもある、伊勢丹さんに扱ってもらい、ブランド力のアップを狙うことにしました。

岩田屋のバイヤーさんに伊勢丹バイヤーの紹介をお願いしてみました。最初はイヤそうだったのですが(笑)、なんとかOKしてくれて、すぐ紹介も通じて、福岡から東京に突撃しました。で、プレゼンしましたが、噂には聞いていましたが、伊勢丹のバイヤーさんの決断が速いこと・・・ 時間がないとのことで移動途中の空港の喫茶店でのプレゼンとなったのですが、「うん、いきましょう」の一言で、その場で展開が決まり、条件提示もあり、とくに足元を見る気配もなく、ついでにコーヒーも「うち、こういうのに厳しいんすよ」と、おごらせず、ま~なんとも ちゃんとした百貨店さんでした。本店バイヤーさんから支店のバイヤーさんへもすぐ話が行って、新宿本店と都内の各店舗(その当時は、浦和、立川、吉祥寺、府中、相模原、松戸の6店舗でした)での展開が決まりました。近所のおばさんから「メモ持ってきなさい」と言われてから、約2年。あれよあれよと、なんと伊勢丹でまで商品が販売されるようになりました。

 

百貨店との契約: 消化販売?
実は、百貨店での展開は、買取契約になることは少なく、”消化”などと呼ぶ、ある種の委託販売が多いです。消化の場合、在庫を十分持っておくことも要求されるので、販売が好調でも逆に在庫負担が増し、アウトレットなどの売り切るルートを持たないと実質的な利益が出にくいです(在庫が膨らむので決算上は悪くならなくてもキャッシュが厳しくなりやすいですね)。そのため、中小企業が突破口を作っていく時、百貨店はブランド力強化のために重要なチャネルとなるのですが、在庫リスクを十分考え併せて慎重に進める必要があります。私たちの場合、アウトレット店も持たないし、ブランドとの申し合わせ上、安売りのセールも出来なかったのですが、直営店にいいお客さんがついてくれていて、同時に商品をリリースしても、うまく直営店で色柄の凸凹(販売店舗毎で不思議なくらい売れる色柄が偏ります)を調整し、売残りがほとんどなかったので、百貨店での販売を広げることができました。

 

次は、

1-5 市場が全国へ; 「赤すぐ」で全国区へ〈ヒット倒産に気をつけろ!拡大基調での生産計画〉

 

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