1-2 お店のオープン いまどきの店舗探し;〈小売業界の環境変化:ポップアップショップ?〉

さて、商品を色々揃えて、「さあ、お店を出すぞ! んで、卸もやるぞ!」と張り切って、まずはお店の場所探し、そして卸先探しを始めましたが、まあ苦戦しましたね・・・

当時、既にネット販売もありましたが、アパレル系はまだ実店舗での販売が圧倒的。実店舗は欠かせませんでしたが、いい場所は家賃も高いし、店舗などの事業用は、大体どこも敷金が住居用の倍の6ヶ月分! 店を出すのも初めてなのに、いきなりリスクの大きい大きな路面店は出す勇気はありませんでした。「こりゃ、路面店用の物件よりも、物販の了承ももらえるような事務所物件を探そう。」ということで、住宅街の駅から徒歩5分ほどの場所に6坪ほどの事務所用の物件を探し、退店時の原状回復が大変にならないよう、既存の内装は傷付けないようにしつつ、手作りで内外装を作っていきました。

多くの人から「こだわりのお店は、遠くからでもわざわざ来るお客さんが多いから。カワイイ、個性的なお店だから大丈夫だよ。」と言われて、晴れてオープン!したのですが、まぁ~~、お客さんは来ませんでしたね。今になると当たり前と思いますが、そりゃ多くの人に知られないと、個性的だろうが、カワイかろうがお客さんは来ません。こりゃヤバイてことで、もがきました。

もちろん、近隣エリアのポスティングから看板設置など色々やりましたが、もっと”攻めの姿勢”でないとダメだと外に出ました。

まずは、イベント出店。催事販売です。物販が許可されているイベントは、フリーマーケットから商業施設でのポップアップ・ショップ、百貨店での催事販売まで、色々あります。ぜ~んぶやりましたが、各イベントで客層も、接客の仕方も、買われ方もかなり変わります。例えば、安物買いばかり来ると思われがちなフリマですが(実際、それはそうですが)意外とセレブが来て高額品が買われることも多かったり、セレブ相手の百貨店では(うちはまったく被害なしでしたが)やばいクレーマーが多かったり・・・ 接客業の楽しさ・奥深さを知ったのもこの時期です。

その後、私どもは横浜駅そばの横浜ベイクォーターで5年、福岡中心街でキャナルシティ博多で3年間、最先端の商業施設内に固定店を出店・運営しました。中小企業は、接客もスタッフ教育も全て自分たちでやらないといけませんが、この頃に色々なタイプのイベントで販売の経験を積んだことは、その後の店舗運営で非常に役に立ちました。自身で売ることも出来ましたし、スタッフの教育も滞りなく行うことができました。(実は一般に”素晴らしい”と言われる日本式接客は、嫌がる人が多いことも事実です。スタッフ教育を外注すると、お客さんから嫌われるスタッフになって帰ってくるのは、販売あるあるですね。)

この頃は、催事販売は少し安めのものとか企画もの(例えば、インポート・フェアとか)が多く、うちの商品はそれほど売れる方ではなかったですが、そのおかげで接客は磨かれました。商品、客層、場所の雰囲気、接客などのマッチングは小売業では非常に重要ですね。

「売れるモノを売る!」;
少し反省を込めて・・・ なぜ当時、あまり売れなかったんでしょう。その頃、苦労していた僕らを心配して先輩がよく言ってくれた言葉が「売りたいものじゃなく、売れるものを売れ!」でした。当時、流行していたのはエスニックなアジア雑貨やお洒落な北欧雑貨、それに対して僕らが売ろうとしていたのは、ポップなオーストラリア雑貨でした。本当に初めて見た物にはお客さんってビックリしちゃうんですよ。その後、それらが売れ始めていく過程を見て、ヒット商品が生まれるプロセスを目の当たりにしていくのですが、ま~~売れ始めるまで時間がかかりました。やはりスモールビジネスを立ち上げたときは、理想を追わず、敢えて時流の後追いになってでも売れるものに拘って(もちろんそれは、現実的に出せたお店の場所に来る、お客さんの層に合わせて、ということです)、徐々に半歩ずつ踏み出して、やりたいことに近づけていく根気が必要と思います。シニア起業でも、「俺には残された時間が少ないんだ!」なんて言わず、根気よくいきましょう。

 

その他にも、地元ミニコミ誌への広告出稿などもやりましたが、結果は微妙(当時お世話になった営業の松ちゃん、ホントによくやってくれたんですよ。元気かな?)。それから、オーストラリアのアート展開催もやりました。これまたダメダメでしたが、これが思わぬ転機になりました。

当時、国内にポツポツと表れていた大型ショッピングモール「ダイヤモンドシティ」。その福岡店に、全国的にもまだめずらしかった、期間限定ショップを集めた「パワコンストリート」というのがありました。それを共同運営していたのが、地方ミニコミ誌の先駆け「シティ情報ふくおか」を編集・出版していた「秀巧社」。その秀巧社のスタッフが、うちのアート展を見てうちに目をつけてくれたのです。彼らはミニコミ誌の先駆けだけあって、福岡の個性的なお店を相当見てきており、センスも際立っていましたが、うちはかなり目立っていたそうです。自分達では打つ手がなくなってきて「もうどうしたらいいのか・・・」となりかかっていた僕らは無条件で「やります!」と言いましたね。必死だったので、朝10時から夜10時まで、ずっと立ちっぱなし。昼ご飯も立って済ませて・・・。

その中で、後にヒット商品になってくる商品が現れました。

 

店舗の探し方-小売り業界の環境変化;Popーup Shop ポップアップショップとは
やはり、店をどんな出し方をしていくかは、商品構成やブランドイメージに直結する、重要な戦略の一つです。
以前は、小売業の場合、路面店の選定の仕方が最重要項目の一つでした。実際、商圏の人数・購買層の分析、交通機関への動線、広告の打ち方など、かなり慎重に調査をしていました。もちろん今でもそうですが。
しかし、この10~20年の間でだいぶ環境は変わっています。第一に大規模ショッピングモールの増加、第二にインターネット環境の変化です。
前者で、火を点けたのは、イオンさんと三菱商事さんが手を組んで仕掛けた「ダイヤモンドシティ」(当時。現在は提携解消などを経て「イオンモール」と名称変更して展開)でした。アメリカのショッピングモールを手本に郊外型の大きなスーパーと多数のテナントが入る、大規模な全天候型モールです。非常に人気が出て、全国に展開されていきました。このような大規模モールでの出店に注力し成長した小売事業者やブランドは非常に多いです。
ただ、展開が広がるにつれ、どのモールに行っても同じ店ばかりというのがモール側の悩みの種になってきました。そこで福岡進出時に企画されたのが、福岡の地元の個性的な期間限定ショップを集めた「パワコンストリート」でした。同様な試みは、その後少しずつ増えていきました。
一方、後者、インターネット環境の変化も大きなものでした。インターネット販売が増え、衣料品まで販売されるようになります。当初は、衣料品は嗜好性が強く、ブランド品を筆頭に「まずネットでは売れない」と言われていました。しかし、嗜好の没個性化(個性的な服は売れなくなり、シンプルなもの、コーディネートがしやすいものが重視されるようになりました)と合わせ、楽天、amazon、zozoなどの事業拡大とともに、衣料品をネットで購入する方も非常に増えました。
もちろん、売り方もSNSなど、インターネットを活用する必要性が高まりました。(インターネットの活用方法も広告費の高騰でだいぶ変化しましたが、これはまた改めて・・・。)
こういったことが、事業を立ち上げる際の店舗選びにも大きく影響しました。
これらは、結果的に、アパレル不況をもたらしました。まずはモールの隆盛が路面店を直撃、さらにネット販売の増加が実店舗全体、もちろんモールの店舗含めて全体的な実店舗の不振を招きました。モールなど、商業施設内の店舗の撤退も相次ぎ、空き店舗が非常に増加。ショッピングモールが若干過剰に出店が広がった後に実店舗経由の市場が縮小した結果として、空きテナントのスペースなどを活用した期間限定ショップ、いわゆるポップアップ・ショップが非常に増えました。
意外ですが、市場環境が厳しくなるにつれ、逆に中小小売りが新たな試みをできる環境が広がってきたのです。
店舗を出すのはリスクが高いのでネット販売のみでやっていくという事業者様もいますが、これほどネット販売店が増えると埋もれてしまい、とくに衣類などのような実物を見ないと不安なアイテムは、ネット販売だけで事業を展開するのは逆に難しくなってきています。そのため、イベント販売やポップアップショップで、テストマーケットをしたり、ファンを開拓しながらネット販売を増やしていくのは、とくに中小小売り事業者には、最近の王道です。
その形を作るため、ネット販売をメインにするとしても、日頃から商業施設のイベント担当者に営業をかけておき、定期的に期間限定ショップを開くことで、テストマーケティング→新事業展開を図ることは、非常に現実的な成長戦略になります。
ちょっとシニアのために補足です。商業施設でのポップアップショップがビジネス上効果的なのは、シニア起業でも同じなのですが、意外にネックになるのは、ほとんどの商業施設が休みがない事。休みが全くないのは、老体には堪えます。かといって、例えば週に1日だけバイト(休憩をちゃんと取らせてあげて早番/遅番が必要なら、2人必要です)を確保できるのか、そのバイトが戦力になるのか、商業施設のルールを守らせられるのか、意外に大変ですよ。

 

次は、

1-3 ヒット商品来たー!; 広島の美人ママ啞然〈ヒットのプロセス:イノベーター理論 最初に誰が買う?〉

 

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