紫外線・UVカットの話 -2- 紫外線の害とは?

紫外線って・・・ 電磁波です

前章「紫外線・UVカットの話 -1- オゾンホールで大騒ぎ」の説明で、なんとなく、
紫外線は怖いんだなっていうことと
最近、オゾンホールのせいで増えたんだ
ってことはわかったんですが、
UV-AとかUV-Bとか、なんかややこしいですよね。
で、もう少し紫外線の話を・・・

地表に届く紫外線はほとんど太陽から来ています。
目に見える光(可視光)や、赤外線、放射線と同じ、電磁波の一つですが、違いは波長です。

赤外線、可視光、紫外線、放射線・・という順に、電磁波は波長で分類されており、波長が短いほどエネルギーは高くなります。
分類ごとに作用に特徴があり、
赤外線;エネルギーは低く、吸収されて熱に変わりやすいので “あったかい”イメージ
可視光;まさに “” ですね~
紫外線;エネルギーが高いので分子結合に作用します。 “洗濯物の色あせ”の原因だったりします。
放射線;さらにエネルギーが高いです。 オヤジには “ゴジラの放射能” っていう感じですが、人体へのダメージは深刻ですね。ただ、太陽からの放射線はほとんど地上まで届きません。
これらの電磁波の中で、紫外線は6%程度なので、けっして多くはありません。
しかし、地上に届く最も波長の短い電磁波が紫外線で、波長が短いほど人体への影響も大きいので、注意が必要になります。

今回は紫外線について詳しくお話しますね。
紫外線は、ハードな遠紫外線とややソフトな近紫外線に分類されています。
遠紫外線は放射線に近く、途中で吸収・散乱されてしまうので、ほぼ地表まで届きません。
でも、近紫外線の辺りはしばしば問題になり、“人体への影響から”さらに分類されています。それが、
UV-A (波長315-400nm)
UV-B (  280-315nm)
UV-C (  100-280nm) です。

一般的に、電磁波みたいな波は、波長が短いほどエネルギーが大きくて危険だと言いますが、イメージ的には、あわただしい奴です。
落ち着きなく“ワー!!”っときて、あっちこっちにぶつかって一人でへこたれる、“危なっかしいけど、遠くまで行けないやつ”的な感じです。
(もっともらしく言うと“波長が短いほど、エネルギーレベルは高いが、到達距離が短い“ですね・・笑)

 

紫外線を浴びるとお肌に何が起きるの? ・・・けっこう深刻ですよ・・・

このことは、お肌に入ったと紫外線でも同じ。
波長の長いUV-Aは、危険度は低いが肌の奥に浸透します。
波長の短いUV-Bは、肌の奥までは浸透しないが、危険度高し!。
さらに波長の短いUV-Cは、もっと危険だけど、空気中で吸収・散乱 されてほぼ地表に届かず~
となります。

ここでお肌の仕組みを少し詳しく見てみましょう。
お肌は、表面から、角質層、表皮、真皮、皮下組織となっています。表皮の最下層に基底細胞が基底層を形成しています。基底層にメラニン色素を生産するメラノサイトもありますし、細胞分裂し新しい細胞を生み出しているのも、この基底層です。産み出された細胞は上層細胞に分化し押し上げられていき、最後は角質化し垢として剥がれ落ちていきます。これは表皮のターンオーバーと言われ、26~28日周期で連続的に繰り返されます。健康なお肌だと日焼けしても約1ヶ月で元に戻るのはこのサイクルのお陰です。

詳しくお肌への紫外線の浸透をみてみると、
UV-Aは、深さ0.1mmで50~60%、0.5mmで7%、 1.0mmで0.5%
UV-Bは0.1mmで2~8%、0.5mm以深は届きません。

と言うと、UV-Bは奥まで届かないから安全のようにも聞こえますね。 でも、もう一度考えます。
UV-Bは、皮ふの奥まで浸透しないから危険でないのか・・・
そうではありません。むしろ危険なのはUV-Bなのです。
なぜ皮ふの奥まで届かないのか・・・
それは、UV-Bは、UV-A以上にお肌で吸収されてしまうからです・・・
(しかも、新しい細胞を生み出す基底層の遺伝子に、ガンの要因と言われる傷を残してしまうのです・・・)

UV-Bは、生体たんぱく質や遺伝子DNAにも直接吸収されます。
グラフは、遺伝子DNA(とオゾン)の紫外線吸収の波長の影響を示しています。
これから、遺伝子DNAはまさに“UV-BとC”、波長260nm付近をピークに300nmくらいまでの紫外線を最も吸収することがわかります。
吸収されやすいが故に、奥まで入らない。 でも、吸収されると、危険なことが起きてしまうんですね・・・

 

では、吸収されるとお肌で何が起きるか、もう少し詳しく

いろんな現象が同時並行に起こるのですが、第一は「たんぱく質の変性」です。
これは美容面で気になる、「しわ」の要因になります~
卵をゆでると固くなる。あれがたんぱく質の変性です。たんぱく質は、熱や紫外線などで変性します。

顔がいきなりゆで卵みたいにはなりませんが、ミクロには同じことが起き、深部のコラーゲンや弾性繊維を変性させます。そのため、紫外線を浴び続けた肌は固いしわっぽいものになります。これを繰り返すことが、「しわの要因」になっていると言われます。
確かに、マラソンランナーや農家のおばあちゃんの肌はテカテカでしわが深いですよね。
UV-Bの作用が大きいのですが、UV-Aの影響もゼロではなく、Aの方が降り注ぐ量が多くて、皮膚の奥まで入るので、最近はUV-Aのケアが重視されてるようです。

第二に、代表的な防御反応である、“日焼け メラニン生成”です。
これも美容の大敵、「しみ」の要因になると言われます。
お肌を紫外線から守る防御機構である、“日焼け”ですが、赤くなるサンバーン(紅斑)と黒くなるサンタン(色素沈着)反応の連動です。サンバーンは下記のDNA損傷を伴っています。
一方、沈着した色素は時間とともにメラノサイトから上層細胞に受け渡され、最終的に新たな細胞で下から押し上げられた、上皮細胞ごとターンオーバーしていきます。それがうまくいかず、沈着したままになると、“しみ”になると言われます。
最近、「飲んで(食べて)しみ対策」という商品が増えていますが、多くはターンオーバーをスムーズにするという観点で作られているようですね。

 

第三が、DNA損傷です。これは美容よりは深刻な話、とくにお子様には最も深刻で、将来的にもガンの要因になると言われます

お肌が紫外線を浴びると、DNAを構成する塩基の一つ、チミン同士が紫外線で結合し、二量体を形成してしまい、DNAの並びが狂った、“傷”となってしまいます。人には修復酵素もあるのですが完全に修復されるわけではないため、傷ついたDNAが転写されることでガン化すると言われています。
紫外線の害については、最近は美容面が強調されることが多いのですが、本当に憂慮されているのはこのガン化の問題です。
実際、日本でも皮膚がんの発生率は30年前の10倍になっています。ガン化の問題は、美容以上に深刻なのです。

その他、光線過敏症になるケースも見られます。光線過敏症は、薬との相互作用だそうで、特定の化学物質が一定量以上皮膚に蓄積された状態で紫外線が当ると光アレルギー反応が出る場合があるそうです。これは、UV-Aが作用することが多いそうです。(主な原因薬も報告されていますが、私自身、この辺は専門ではないのでここでは省きます。詳細については次の文献をご参照下さい。 上出良一「薬剤性光線過敏症の主な原因薬」、最新皮膚科学大系16、玉置邦彦総編集、中山書店、290-300.)

ちょっとマイナス面ばかり書いてしまいましたが、もちろんプラスもあります。以前から言われている、“ビタミンDの生成”です。ただ、これは、「1日に15~20分ほど浴びれば十分」と言われていますので、浴びすぎを注意した方がよさそうです。
むしろ、最近よく言われる、“精紳衛生上の効果”が重要かもしれませんね。現代人はデスクワークが多いですからね。

 

活性酸素・・・?

実は、紫外線を過度に浴び続けると、
“皮膚がん”が増える
“しわ”が増える
という現象は明らかになっていますが、人の体はまだまだ明らかになってないことも多く、“がん”や“しわ”ができる仕組みは詳細にはわかっていません。
「“生体たんぱく質”や“遺伝子DNA”が、化学構造上、“UV-BやC”を吸収して変質してしまうから」というのは、一つの過程として間違いないと思われます。
しかし、「本来、さほど吸収されないはずの“UV-A”でも、DNAの損傷が見られる」という事も以前から指摘されていました。
最近の研究では、このような“たんぱく質の変性”や“遺伝子DNAの損傷”に、“活性酸素”が絡んでいるのではないかと言われています。

本来、活性酸素は、体への有害刺激に対処する、体に必要な免疫機能です。
しかし、有害刺激が強すぎると、必要以上に発生し、自身の組織を傷つけてしまうと言われています。
もちろん、紫外線は人体にとって強すぎる刺激であり、
体内の酸素→活性酸素→脂質の過酸化
たんぱく質の切断・重合
酵素失活
DNA損傷
というプロセスで人体に害を与えており、遺伝子などが紫外線を直接吸収するより害が大きいのではないかと考えられています。

ちなみに、最近は「食」への関心もたかいので、活性酸素を抑制する栄養素と言われているものを上げると、
ビタミンC,E、ポリフェノール類、グルタチオン、カロチノイド等 だそうです。
これらの摂取は抗酸化剤として有効との報告が多く見られます。
このあたりの「食」についてはまたあたらめて、まとめるようにしますね。。

お肌と腸が同じ?!

余談ですが、皮膚は免疫機能を受け持つ“臓器”である!?と言われます。
皮膚には、異質なものの進入に備え様々な免疫担当細胞があり、腸との共通点も多いんだそうです。
確かに、人の体を“口からお尻までの筒”のように考えると、筒の内側が“腸”で、外側が“皮ふ”で、中と外でつながっているんですよね。
ガン化は、紫外線による皮膚障害から免疫機能が変調し、悪性腫瘍の排除機構がダメージを受けるためという報告もあるんだそうです。
そう考えると、お肌の大事さが身にしみますね~

まとめると・・・

これまでの話を、上司と部下の会話的にまとめますとですね・・・
「昔話ばっかりしちゃって、なんだけどさあ・・・ 昔は外で遊んで日焼けして真っ黒になったらほめられてたんだぜ・・・ それが、急に『子供を日焼けさせてはいけません』とかいわれてさ・・・」
「いや、昔とは紫外線の質が変わったんですよ。前は、マイルドなUV-Aだけだったのが、デンジャーなUV-Bまで来るようになったんですよ。」
「ああ、オゾンホールでUV-Bが通り抜けて来るようになったって話だろ~・・・」
「です。です。 UV-Bは体のたんぱく質や遺伝子に直接作用してしわ・しみやガンになるって言われてるんで怖いですよ~」
「『です、です』じゃなくて『そうです』って言えよ。そういえば、ハリウッド俳優で何回も皮膚がんの手術してる人が・・・」
「ヒュー・ジャックマンさんでしょ。 あの人、オーストラリア人ですもんね。 子供の頃、ガンガン日焼けしてたらしくて、自分を広告塔にして『子供に日焼けをさせないように』って啓蒙活動をしてるらしいですよ。鼻にバンソウコ貼ってる写真(例えば、これ)も出してて、えらいですね。」
「でも、どうやって日焼けを防ぐんだ?」
「それはまた次回に語りつくしますから・・・ フフフ・・・」

いや~、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
こんだけブログに長文書くとすがすがしいですね~
ちなみに、前章 「紫外線・UVカットの話 -1- オゾンホールで大騒ぎ」はこちらから
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「Snug as a Bug」等の生地特性計測は、福岡県工業技術センター 化学繊維研究所において技術指導・相談下で行っています。
また、記事をまとめるにあたり、下記の書籍・文献を参考・引用しています。

独立行政法人 国立環境研究所編 「絵とデータで読む 太陽紫外線 ―太陽と賢く仲良くつきあう法―」(東海大学総合科学技術研究所 佐々木政子 著)
「着るもので差がつく汗対策 平田耕造」(文 河合香織)ヘルシスト208,vol.35, No.4 July-August, 2011
佐々木政子 (2001) 光とからだ -目と皮ふへの作用-、運動生理学、11/12,4.
坂田俊文、佐々木政子 (1978) メディカルフォトケミストリー -光化学療法について-、化学工業、 29(3),309-316.
松尾 (2000) 3-1 光ではじまる皮膚障害-  サンバーンとサンタン、光が拓く生命科学 第4巻 生物の光障害とその防御機構、日本光生物学協会編、共立出版、65-79.
上田正登 (1999) 紫外線と皮膚がん、遺伝、53(5),25-29.

 

 

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